YZ250FX試乗インプレ

12月7日スポーツランドSUGOで衝撃デビューをした「YZ250FX」を早速試乗してきました。
コンディションは残念ながらマディーでしたが、それはそれで実践的なライディングが出来たと思います。
コースコンディションをおさらいしておきますと、朝イチに世界の藤原さんによる凍結路面の掘り返しにより1本目だけはベストでした。

陽が出てきた2本目以降は深さ15cm-20cm程度の泥になりその下は陽があたっている所はグイグイグリップして、日陰はツルツル(若干凍結)な状態でした。マディーをベスコンという藤原さんの投稿には長くお付き合いさせて頂いてるので、「ノリ」でネタには「のる」オレです。(笑)

ほらね、見た感じはベスコンでしょ?(笑)

さて、今回の試乗会は東北地域のYAMAHAのMXレーシングサービスを担当してるエムファクトリーさんが段取りしてまして、メーカー試乗車の空きがあったらしく急遽車両が来た様で一般の方には中々告知が広まらず、たくさんの方に試乗して頂けずちょっと残念でしたが、また何かのタイミングで試乗の機会ができればななんて思ってます。

さぁさっそくインプレッションです。
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まず、おさらいでYZ250Fとの違う所(大雑把)
1.セルがついてる
2.6速ミッション
3.サイドスタンドがついてる
4.リア18インチホイール
5.樹脂製アンダーガード
6.専用セッティング前後サスペンション

1.セルがついてる
これはモトクロス、エンデューローを経験したことがある方は一度は思ったことがあるでしょう
エンスト、転倒でのエンジン始動時にキックでなかなか始動せず、相当の体力を消耗したことが・・
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もちろん、セルが付いていると言うことは「セルモーター」「バッテリー」があるのでその分重くなる
参考までにYZ250Fは109kg【訂正】105kgでYZ250FXは114kgその差は9kg
これはタイヤの重さやシールチェーン、サイドスタンドも含んでるのでどうだろ実際セルモーター絡みの増量は6kgくらいなんじゃないかな・・・このくらいの増量は全くもって許容範囲です。逆に6kg重くても良いからセルつけてくれ!ですね。
試乗時は残念ながらエンスト、転倒がなくセルの恩恵にはあずかりませんでした(失敗した・・・わざとエンストすりゃよかった)
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2. 6速ミッション
まずはデーターから
「YZ250FX」
1次減速比/2次減速比(ギヤ丁数) 3.353/3.923(13T/51T)
1速 2.385 2速 1.813 3速 1.444 4速 1.143 5速 0.957 6速 0.815

「YZ250F」
1次減速比/2次減速比(ギヤ丁数) 3.353/3.846 (13T/50T)
1速 2.143 2速 1.750 3速 1.444 4速 1.222 5速 1.042

試乗し終わったライダーさんが「エンストする感じがしない」と話していましたがこれは低速コーナーで2速旋回時のことだと思います。上のデーターをみてもわかるようにRスプロケットがFが50Tに対してFXが51Tです。もちろんミッションレシオも違うんですが、マディーでの低速コーナーではFXでの2速でのギアレンジが良かったんでしょう〜 確かに俺も実感出来ました。
2-3速のギアレンジがFに比べるとちょっと離れてますが、これはおそらくECUでの低速域でトルクを上げているような感じなのでここもあまり気になりませんでした。Fに比べると低速低回転域のトルクは2割増し感覚です。【追記】セル用のワンウェイクラッチ、リングギア、発電用のFよりは少し大きいフライホイールにより慣性トルクが出てると思います。

5-6速は今回のコンディションでは使えなかったのでわかりません。

3.サイドスタンドがついてる
オンタイムエンデューローとかではコース、テスト下見とかで必要なんですよね
跳ね上がり角度が市販車より上がっているのでジャンプ着地でベロンって下がるようなことも無かったです。ただ、アルミ製なので、車両にまたがりスタンドに車重、体重をかけたりその状態でキックする・・なんてことはNGです。
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4.リア18インチホイール
18インチじゃないとダメなの?19インチじゃダメなの?
はい・・エンデューローってFIMとかJNCC公認タイヤってレギュレーションがあってそのレースに出る時は公認タイヤじゃないとダメってルールがあるんです。で、18インチだと公認タイヤのバリエーションが多く色々チョイスできるって利点みたいですね。もちろん18インチの方がトラクションや接地感が高いのかな・・オレはあまりわからない(笑)
FXの標準装着タイヤはダンロップの「AT81」でした。マディーでもまぁ-まぁ-グリップしました。
マディーの時のオレのフィーリングの表現はコーナー立ち上がりでのグリップ感を表現すると
例えば
ハード系タイヤ 空転-空転-空転-グリップ
ミディアム系タイヤ 空転-空転-グリップ
ソフト系タイヤ 空転-グリップ
今回のAT81 空転-空転-グリップ でした。
これはオレの体重とドロによりリアサスのふんばりが効かなくなりトラクションがかからなくなっての結果だと思ってます。
余談ですが、昔乗せていただいたとあるマシンには◎◎◎なタイヤが装着されていて同じようなマディーでしたが
空転なし-グリップ でした!(笑) あのタイヤ欲しい・・・・
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5.樹脂製アンダーガード
Fは2014モデルからアンダーガードが無くなり、少々不安で各社のガードをチョイスして装着してましたが、FXは標準で樹脂製のカードが装着されてきました。
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前2箇所と後方下部に1箇所のボルト締めなのでクランクケースやフレームはガッチリとガードできると思います。今流行の?丸太越えなんかはどうなんでしょ・・やはりアルミ製のガードの方が良いのでしょうかね・・・

ですが、今回のようなマディーの場合フレームのダウンチューブエンドとガードの開いた部分からガンガン泥が入ってました。
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洗車時にアンダーガードを外しましたが、隙間という隙間にビッチリ入ってました。これは要対策ですね。全面の開いた部分をマディー用のスポンジで塞ぐ等の処理をしたほうが良いと思います。もちろん下部のクランクケースとアンダーガードの間の隙間もマディー用のスポンジを詰め込んだほうが良いですね。あと、ウォーターポンプの下部の隙間も・・・
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泥が抜けるように下部に穴あけをしても良いかもしれませんね。

6.専用セッティング前後サスペンション
最後になりましたが、ここが一番重要でもあり皆さんに知っていただきたいポイントです。
基本前後サスの構造はFと一緒です。以前WR250Fなんかは同年式のYZ250Fに比べると旧タイプの構造を採用している感じでしたが、今回のFXはFと同じでフロントはツインチャンバータイプを採用しています。リアもFと同じです。もちろんバネレートやシムはFとFXでは異なりますが、互換性があります。

参考データー 標準値
「YZ250FX」
フロントサススプリング 4.1N/mm
リアスプリング 48N/mm

「YZ250F」
フロントサススプリング 4.6N/mm
リアスプリング 54N/mm

みなさんFXのバネレートを見て何か思い当たることは無いですかねー
当店で昨年から販売してますYZ250F用のソフトスプリングセットのレートと同じなのです。
http://www.ys-kuromatu.com/?p=3314

YZ250Fを標準のバネレートでは硬くて全然ダメですよって
ずーっと前から言っていたんですが、未だに標準で乗ってる方が多いですね。

このブログを見てるYZ250Fのオーナーさんで既にFXに試乗したよ!って方がいましたら
ご自分のFと比べてFXのサスはどうでした?もちろんコースにもよりますが、FXのサスが
「柔くて柔くて全然ダメだ」という方は殆どいないと思います。
ちなみにオレ体重90kgでマディーの菅生を走った感想は「これはオレには柔すぎだ・・」とコースインして大坂を登り切ったところで感じました。もちろんその後のジャンプセクション等でも全て感じました。
はい・・90kgの体重ですし、泥がおそらく10kg位は車体に付着しているからでしょう。また誤解しないでいただきたいのが、モトクロスコースを走るなら柔くてダメだ・・・と言うことです。菅生名物のすり鉢名とかのエンデューローコースでしたら、柔いセッティングが好きなオレはこのままでOKだと思います。←ちょっとはセッティングしますがね。

今回の菅生での試乗を見ておりましたが、MXコースのスポーツ走行の中で行われていましたので、殆どがMXライダーの方が試乗していました。試乗を終えた方のインプレッションを聞くとあまりサスが「柔い」とか「踏ん張りがない」とか話す方は少なく「乗りやすい」「グリップする」の意見が多かったです。そうです、Fに比べてこんなに柔らかいバネが付いてるのにインプレッションは「乗りやすい」「グリップする」なんです。
先に[4]のタイヤの事で「今回のAT81 空転-空転-グリップ でした」とオレが言っておきながら皆さんは「グリップする」なんです。この差は体重です(笑)
試乗した方はMXライダーが殆どですと言いましたが、もちろんその方々の自分のマシンは前後モトクロスタイヤを装着しエア圧をきっちり管理し練習していたと思いますが、今回の試乗車のFX実はエア圧はわかりません!「何だずいぶんエア入ってるっぽいな・・・と言いながらシューーーーーってゲージ無しで抜きました」それで皆さん走ってましたよ。しかも午前中はそのエア圧高いままでした(笑)
タイヤの空気圧ももちろん大事ですが、ここで言いたいのはサスペンションのセッティングによってもグリップ力が変わるって事です。これ以上はそれぞれのノウハウですので言いません。

昨日、Facebookで簡単なオレのインプレッションを「予想通りだった」とつぶやきました。
サスペンションに関してはとっくにこのFXと同じバネレートの4.1N/mmリア48N/mmをYZ250Fで製作してセッティングを出してましたので「予想通り」とインプレしました。Fで作ったのはMXコースで使用するため動きの中間での踏ん張りを持たせてますので、FXと全く同じではありません。

今回のインプレではECUのマップはコンディションがコンディションだったので詳しくは把握できませんでしたが、以前FXに極似したマップを教えていただき、それで4時間のエンデューロー、前回の三沢での練習で乗ってますが、「振り」は同じ方向です。ギヤ比の関係もあると思いますが、FXの標準マップの方が低速トルクはありました。高回転域はほとんど同じでした。あとはライダーが中回転域をどうするかで味付けが変わってくると思います。薄めにして早く高回転域に達するようにするか、濃くしてモタツキ感を出しトルクを出すか。コースコンディションに合わせるといっそう乗りやすくなると思いますね。

簡単にまとめると 皆さんが乗りやすいと評価しているのはECUのマップとサスペンションがその走りにぴったりマッチしているからなのではないでしょうか。もちろんFX最大の武器のセル付きもレースをする上では好評化につながります。

近年のエンデューローブームもありコンペモデルの需要拡大となるものの海外メーカーが良いエンデューローマシンを発売するなか、国内メーカーのヤマハがこんなピンポイントにマシンを作り売り出すのって今までのヤマハには絶対ありえないことでした。ヤマハに限らず「それ出したら何台売れるの?」な世界ですから、このFXの国内販売計画のFX単体での200台にはビックリです。

どちらかと言うと型遅れのモトクロッサーを買ってエンデューロー仕様に変更して・・・のイメージが多いですが、そんなことをするならこのFXを買って5年位このFXでエンジョイエンデューローしたほうが断然お得ですね。だってヤマハのエンジン壊れないし、どこかのメーカーのマシンみたくクラッチがキマらないし・・フレーム錆びないし・・部品はヤマハのお店で頼めばすぐ入るし・・健二さん居るし、学さん居るし・・・

ちなみにYZ250FX の予約受付期間は2月28日までです
http://www.yamaha-motor.co.jp/mc/competition/yz250fx/

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